飛行機設計50年の回想
09/09/2020 21:28:31, 本, 土井 武夫
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によって 土井 武夫
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まだ読み始めの段階だが、この本は、お奨めの一冊に加える資格を備えている。設計者自身が記録した稀有な自伝だが、技師出身にしては、専門知識を平易に紹介している。また技術的に必要なことは、きちんと記録してある。一般読者を対象とした「手抜き」などしていない。技術者らしい記録だ。戦前から戦時中は、川崎重工の技師として、陸軍九九式軽爆撃機、陸軍二式複座戦闘機「屠龍」、陸軍三式戦闘機「飛燕」、陸軍五式戦闘機。戦後は、YS11などの設計を手掛けた土井武夫さんの自伝だ。東京大学工学部航空学科の同級生には、三菱で傑作機・海軍零式艦上戦闘機を設計した、堀越二郎技師もいた。文字通り、日本の航空産業を牽引した著者自身による自伝で、土井さんの五十年の人生を知ることが、世界の最高水準に並んだ一瞬もあった、日本の航空産業史を知ることでもある。欧米の模倣から始まり、資源と基礎工業力に乏しい我が国で、量産機を送り続けた土井技師。彼の設計思想は、天才肌の堀越さんとは、大きく異なり、堅実かつ臨機応変とでもいうべき、現実的設計の権化みたいなものか。著者の仕事ぶり…現実社会の多様な制約を、時に技術者らしからぬ政治的とも思える柔軟さで折り合いをつけ、実際に手に入る資材を使って、知恵を加えて、最善の設計を尽くして世の中に送り出す。その成果のひとつとしては、平時であれば不合理とも思える、液冷エンジン用の細い胴体に、巨大な空冷エンジンを搭載して、使い勝手がよい即席の名機に仕上げた陸軍五式戦闘機が、その最たるものか。予算や諸事情を勘案してまとめあげた、戦後のYS11も、その例に加えられよう。平成26年、再読して読了した。読み終えて、設計者自身の証言から、当時、中島との試作競争で敗れたキ28(1936年)の外観が、5年後に出現するキ61(陸軍三式戦闘機、1941年)と驚くほど酷似していた理由も分かった。5年も前に設計した基本部分を、最新の設計に反映できるということは、キ28時点の設計がいかに堅実だったかが分かる。同時に、現在でも一部に伝わる「Bf 109とキ61との類似性」という伝説については、本書を読めば完全に否定できる。DB 601エンジンのライセンス生産こそ事実だったものの、陸地上空での戦闘しか行わない欧州の戦闘機と比較して、長大な航続距離や運動性を求められる日本軍機とでは、設計の根幹から異なることが、設計者自身によって語られている。土井さんの50年の記録は、日本の航空の歴史であり、よくぞ書き残してくれたと感謝するものである。
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